アカルイツキ

LIVE MY LIFE♡LOVE&JOY 私らしく。あるがままで正直に生きたい人を応援しています。

ラムネの思い出

https://www.instagram.com/p/BgSZMEYlmXx/

ふと、思い出すことがある。

 

娘のイヤイヤ期が絶頂期を迎えていたころに、

スーパーのカートを自分で押したがって、辟易していたころがあった。

 


子ども用のカートがあるスーパーで、

自分でカートを押したことが楽しくて、それをいつもやりたがった。

だけど、普段使うスーパーには子ども用のカートはなく、

大人のカートを娘が押すと、前が見えないのであちこちにぶつかり、

ママと一緒に押そうというと、「自分だけでやりたい」と駄々をこね、

買い物に来ている人にぶつかりそうになるたびに、

謝り、舌打ちされたり、嫌な顔されて、ぺこぺこ頭を下げなくてはならず、

本当に憂鬱だった。


できるだけ、スーパーには一緒に連れてこないようにしていたけど、

どうしても連れてこないといけない日もあるし、

そういう日はあの手この手で気をそらしたり、

説得したり、そのたびにイヤダと言われ、

とにかく、買い物するだけで疲労困憊になる、という感じだった。


その日もカートを使いたがったが、

自分だけで!と頑として譲らず、

夕方で人が多い時間でカートを使わせるわけにはいかないと、

入り口のカート置き場で、娘と喧嘩になった。


人にぶつかると危ないこと、

今の時間は人が多いからカートを動かすのにもコツがいるし(なにしろ通路のせまいスーパーのため)ムスメちゃんにはまだ難しいこと、

人に迷惑がかかること、ママが困ること、などを根気強く説明したが、

娘のやりたい意思のほうがよっぽど強くて、

「ママはいや!ムスメちゃんがやるの!」とカートを一人で持ち出そうとして、

そのカートを私が抑えて、「これはおもちゃじゃないからダメ!」と

結局、怒って止めるしかない・・・みたいな感じになってしまった時があった。


買い物にきていた周りの人たちは最初、遠巻きに見ていたが、

子どもは大泣きしているし、(カート取りたいのに)邪魔だと言われるし、

私でなくて娘に対して

「危ない!ダメ!わがまま言うんじゃない!」とか怒鳴る人もいて、

見知らぬ他人に怒鳴られて、娘はもっと大泣きになり、

イヤイヤと相まって、収拾がつかなくなり、私も泣きたい・・・という感じで、

もう買い物は諦めて帰ろうとしたときだった。

「かわいい~、かわいいね~」と言って、

娘に笑いながら話しかけて、頭をなでてくれた年配の女の人がいた。


「かわいい」以外は、スペイン語ポルトガル語?みたいな言葉で、

やさしい笑顔で、娘の頭や頬を撫でては

「かわいい~、かわいい~」と言ってくれた。

娘は、びっくりしたのか、泣き止んで、

じーっとそのおばあちゃんの顔を見ていて、だんだん落ち着いてきた。


そのときに、その方が、ラムネを出して、娘に食べさせてくれたのだった。
「おいしい?」と聞かれて、うんとうなづいて、娘がわらった。

言葉はぜんぜんわからなかったけど、

おばあちゃんと、娘はなんか通じ合って、

娘はうん、うん、とうなづいていた。

そして、私をみて、優しい顔をしてくれた。

ラムネはまだ食べさせたことがなかったけれど、

そのとき、私にはとてもありがたく、泣きそうだった。

「ありがとうございます」としか言えなかった。


そのあと、落ち着いた娘と一緒に買い物をして、

「おいしかったね、やさしいおばあちゃんだったね」と話しながら帰った。


このことを、娘は1年半後に話してくれて、

「ムスメちゃんのことが好きだから、ラムネくれたんだよ」

という記憶で覚えていた。

カートを使っちゃいけないと怒られた記憶ではなくて。

そのことをよかったなと思う。

 

あのおばあちゃんは、どうしているんだろう。

あのときは、本当に助かった。


そして、イライラして、ささくれだった私の心に、

娘はかわいい、こんなにかわいいと教えてくれて、ありがとう。

 

娘はもう一人でカートを押せるようになった。

今の私なら、もう少し違う対応を選ぶかもしれない。

人は成長する。

 

 

© 2018-2020 akaruitsuki/Mayumi Inaba