アカルイツキ

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性暴力をなくすために男性ができること@上智大学シンポジウムに参加して

https://www.instagram.com/p/B4mPnTXggVq/

今日はこちらのイベントへ。これもなんと無料イベント。ものすごい充実度。ありがたすぎる。#ソフィア #上智大学 #性暴力防止 #男性性と女性性 #性的同意

11月8日に上智大学で行われた「性暴力をなくすためにできること:男性の立場と心理を日米の心理学研究・臨床現場から考える」に参加してきました。

第一部は、クリストファー キルマーティンメアリーワシントン大学名誉教授による基調講演「性暴力・ハラスメント予防のための男性教育アメリカの大学と軍への研修・指導から得た教訓」

第二部は、パネルディスカッションで、パネリストは、信田さよ子さん(原宿カウンセリングセンター所長)「臨床現場から見た性被害」、中村正さん(立命館大学教授)「日本における性暴力:男性学と加害者臨床の現場からの考察」、平山亮さん(東京都健康長寿医療センター研究所研究員)「『ケアする男たちは暴力から最も縁遠い』のか?」、三浦まりさん(上智大学法学部教授)with "Speak up, Sophia"「日本の大学における取組みについて」

と大変な豪華メンバーによるシンポジウムでした。

上智大学ダイバーシティ推進室による主催で、非常に内容が濃く、学び多き時間になりました。

あまりに膨大に学びがあったので、一緒に行った友人の舟之川聖子さんと一緒にオンラインによるシェア会を実施し、自分が受け取ったものを分かち合うことができたことが嬉しいです。

 

先生方のお話、全部をレポートすると、本当に膨大になってしまうので、ここでは、わたしが主観的に受け取ってきたことを簡単に書いておこうと思います。

クリストファー先生は、なんども「声をあげること」「声を上げ続けること」を繰り返しおっしゃっていました。

「小さくても、あなたの声は、あなたが思っているよりも影響力があるかもしれない」
「全く影響がないわけではない。声を出し続けること」
「被害者が声をあげるのは難しいことはよくわかっている。が、報告を上げられるように改善することはできる」

と、講演の中で繰り返し、声をあげることの重要性を訴えていました。

「声をあげる」のは、その場で直接に言う、ということだけではなくて、

・その場で言えなかったとしても、言えなかったことをなかったことにせず、あなたのポケットの中に入れておいて欲しい。次は言えるかもしれない。
・(嫌だなと思う場面(友人たちが女性をからかうなど)に遭遇した時)「やめろ(Stop)」と一言、発するだけでも良い
・その場ですぐに効果が上がらなくても、後から効くこともある。
・WEBで書いたり、手紙を書くのもいい
・守ってくれる人、味方になってくれる人と同盟を結んで、ともに声をあげる。


など、具体的な例を交えてお話してくださり、とても理解しやすかったです。

あと、教育において、「リーダーの在り方」がいかに重要か、という点のお話があり、軍の部隊での研修の話をしてくださったのですが、リーダーが女性差別を容認している場合、女性兵士が性暴力に遭う確率が、600%上がる!とのこと。
逆に、リーダーが確固として、性暴力は許さないと言う姿勢を示している場合、85%下がるとのこと。

リーダー教育の重要性を改めて認識しました。

 

また、「誰とつるむのか?がとても大切」と言うこともおっしゃっていました。

性暴力加害者は、99%が男女を別に見ていて、敵対していると言うお話があり、

敵対的な性的信念
多くのSEXをすることが男のステイタス
男女の固定観念を是認している
男にはSEXをする権利がある
レイプすることを是認する(Noと言わなければYes)
SEX中に女性を責める

と言うような考え方を持っていて、仲間(友だち)に同様の考え方をもつ人とつるんでいると言うことをデータなどを交えて説明くださいました。

しかし、同時に、ほとんどの男性はこのような考え方は持っていなくて、むしろ、こう言う考え方に嫌悪感や居心地の悪さを感じていることがほとんどである、と。

だけど、こう言う「少数派を多数派だと思い込む、ということがしばしば起こる」とのこと。
人間はやっていないことを認識することはできない。こんなことが起きる(居心地の悪さ)のは自分だけであると思い込み、表に出さないので、自分たちが少数派だと思い込んでいる。(実際には多数派であるにも関わらず)
うーん、これが世界をみるメガネだなあ・・・ 

そういう時に、どうすれば良いか?を教わってこなかったということも、そのようなことが起きる要因として挙げられていました。

パネリストの先生方のお話も、もうほんとーーーーに大変、学び深いものばかりだったんだけれども、ピックアップしてみますと。。。

 信田先生は、性暴力には2種類あり、①家族外からの性暴力(社会内)と②家族内からの性暴力(性虐待)であると言います。

 

〈性〉なる家族

〈性〉なる家族

 

↑先生の著書にも詳しいので、ぜひ読んでみてください。 

性被害のカウンセリングの難しさは、生起から時間が経っている事がほとんど(長いと20〜30年前の出来事だったりする)であり、否認期間があるため、過誤記憶(フォールスメモリー)との闘いである、とおっしゃっていました。

自分が被害者であるという当事者性をもつことに抵抗があるため、否認したり、矮小化したり、忘れようとしたりしてしまう。

それは被害者が自分を守るためのことであるのだけれど、法的にはなかなか難しくなるということ。

そして、先生は「私のポジショナリティー(立場性)は、常に被害者の立場」であるときっぱりおっしゃっていて、

「中立というポジショナリティーは、被害を不可視化する」 

という話が印象に残りました。カウンセリングをしている者として、かなり腹落ち感がありました。

中村正先生は、性犯罪者更生プログラムを作って運用されている方です。
先生のお話の中では

「加害者は、加害者になっていない

=暴力的であったことは認めているが、加害性を認めていない。

というのが、ものすごく響きました。
加害者であることを認められないため、自分が被害者であるとか、社会や果ては裁判所が悪いとか、他罰性が非常に強く、自分の加害性を減ずることに非常に長けている、ということがあるそうです。

平山亮先生は、家族による介護(特に男性による介護)をテーマ研究をされているので、性暴力関連の臨床とはまた違う視点が提示されました。

平山先生のお話は、目から鱗、というか背筋凍る、というか、とにかく、私の視点からは抜け落ちていた点が多く、とても勉強になりました。

認知症の配偶者をケアする時

・適応しやすい夫
・適応しにくい妻

というのがあるそうです。

意外にも、適応しやすい夫は、「家父長制を体現したような夫(男らしい男性)」であり、
適応しにくい妻は、「常に夫を立て、かしずいてきた妻」である、と。

これは、他者の生活と生存権を預かるのが、ケアとサポートにあり、依存と非対称性が存在することが関係していて、適応しにくい妻は、今まで従属する立場にあり、自分で意思決定してきていないため、介護に適応できなくなるのだそう。

ケアと支配の構造的重なり。

ちょっと鳥肌がたちました。

息子による母親の介護の例も2つあり、どちらも「DV」の構造で聞いたことがあるよ・・・という内容で、ちょっと背筋が寒くなりました。

 詳しくは、平山先生の著書を読んでみてください。

介護する息子たち: 男性性の死角とケアのジェンダー分析

介護する息子たち: 男性性の死角とケアのジェンダー分析

 

あと、平山先生は、男性だからというわけではなく、「構造的に優位に立てば、性別に関係なく劣位のものを蹂躙する場合があるという可能性は?」という視点も示してくださり、この問題は、社会構造の問題であるということがとてもよく理解できるお話でした。

三浦先生からは、上智大学をはじめとする日本の大学で、防止策がなかなか進んでいない現状と、学生たちがそれでも声をあげていて、「性的同意ハンドブック」を配布するなどで、同意を広めるための活動をしていることが紹介されました。

 

最後にクリストファー先生から、

性暴力に関しては、#Me tooのムーブメントが起こったことにより、今までとは違う認知が共有されるようになった。
男性が、実態を知った。どこか遠いところにいる、悪いことをしている女が性暴力に遭っているのではなく、身近にいる大切な友人である女性たち、自分の大切な人たちが被害に遭っていることを知った、ということがとても大きいと。
男性性の毒性を理解し、積極的な介入を行っていくこと。
今、責任を持って行動することが解決を導くということ。
また、「性暴力をなくす」という低い目標を掲げるのではなく、野心的な目標(完全に尊重のある関係性とはどんなものなのか?を考え実現する)も必要だというお話がありました。

ほんとうに多角的に、いろんな側面から、社会構造の問題としてこの問題に取り組んでいることが感じられ、勇気や希望をたくさんもらったシンポジウムでした。

 

個人的には、性暴力関連のイベントにはいくつも参加していますが、男性の出席者がこんなに多いのは初めてで、しかも、若いかたがたくさん出席されていたのも、希望が感じられました。

参加者からでた質問も、すごく誠実で誠意が感じられる内容で、それに対する先生方の回答も素晴らしく、私にとっては、大変実り多い時間になりました。

 

わたしも、一個人としては小さな声で、すぐには影響はないかもしれないけれど、声をあげることを、信頼できる仲間たちと続けていきたいなと思います!

 

© 2018-2020 akaruitsuki/Mayumi Inaba