ポリヴェーガル理論の学びが面白い
アカルイツキ のいなばまゆみです。
自律神経系のポリヴェーガル理論というステファン・W・ポージェス博士が提唱した理論が面白くて、2年前くらいからコツコツ学んでいます。
ポージェス博士は今まで著書を3冊出されていて、1冊目は2011年に出された「ポリヴェーガル理論の大全」ですが、これが難しくてほとんど読まれていないという本らしいです。(アメリカ人でも読んでないらしい。ポリヴェーガル理論を引用しているセラピーはたくさんあるのですが、この本からではなく、ポージェス博士の別の論文から取っているものがほとんどだったりする。)
わたしも原書は読んでません。(もちろん!w)
が、この本を読んで、さらにポージェス博士のその他の論文も読み込み、ポリヴェーガル理論について日本語で出版してくださった先生がいらっしゃいます。
わたしは、津田真人(つだまひと)先生の『「ポリヴェーガル理論」を読む〜からだ・こころ・社会〜』という本を読んで勉強しています。
それでも、この本は、神経解剖学の話も出てきますし、医学の心得がある訳ではない一般人が読むのはかなり骨が折れます。
このたび、津田先生がポリヴェーガル理論について講座を開催されると聞いて、受けてきました!
いやー、おもしろかった。
本を読んだだけだと、理解できなかったところが、スルスルと面白いようにわかって、ほんとうに為になりました。
点と点が、ぐるぐるぐる〜と結びついて、強固な縄になってぐんぐん昇っていける感じ。
ポリヴェーガル理論の面白いところは、神経の話だけにとどまらず、さまざまに波及していて、わたしの関心の高い分野(意識(霊性や魂)、身体性、呼吸、癒し)に、エビデンスがあることを証明してくれるので、マニアックすぎる領域に行けば行くほど面白くなっています。
わたしはどこへ向かうのか?と思うのだけれど、どこでもいいかとも思います。
ポリヴェーガル理論が示した、「副交感神経に2系統(腹側迷走神経複合体と背側迷走神経複合体)がある」という点が、トラウマ治療をしていたボディワークと心理療法の両方に多大な影響を与えています。
それまで、「これをやるとうまくいく」ということがわかっていても、その論拠がなかったことに名前がついた、というわけです。
人間には、「闘うか逃げるか」と「凍りつき」という防衛能力があるのですが、ポリヴェーガル理論が発表されるまで、その両方は、自律神経系の「交感神経」で働いていると考えられてきました。
それが、副交感神経の背側迷走神経複合体が二つの働きがあり、その段階で、「凍りつき」が起きているということで、今まで説明がうまくつかなかったことが解明されてきています。
ポリヴェーガル理論は、今尚、発展し進化している理論で、まだまだ変化している点も興味深く、まだ解明されていないところも、今後どんどん解明していくのでは?という好奇心が湧いてきます。
わたしは、自分の状態の取説にも使えるのが気に入っています。
神経がそういう反応をしているんだ、と思うと自分を必要以上に責めることをしなくてよくなるし、その反応を変えていけば良いと考えることもできます。
ポリヴェーガル理論では、社会関与的神経(社会とつながることができる神経)を腹側迷走神経複合体(VVC)であると言っていて、そのVVCがうまく機能するためには何よりも「安心・安全」が大切だと唱っています。
「安心安全」は、個々人でほんとうに体感が違うので、セラピーでは一人一人を見ていくしかないことなどについて、津田先生の臨床でのお話を聞き、ほんとうにその通りなのと、セラピストは想像力を豊かに、こちらがわで決めつけることをせず、開いて開いておくことがほんとうに大事だなと思いました。
ポリヴェーガル理論大全が難しすぎたので、ポージェス博士が2冊目は入門編として出版されていて、こちらは日本語の翻訳版も出ています。
原書↓
津田先生の本は、1冊目と2冊目を繋いで架け橋をかけてくださっているような本で、臨床家にとっては、入門だけだとちょっと理解が???な点を補ってあまりある本になっています。
3冊目はこちら。臨床への応用について書かれてるそうです。日本語版は翻訳中で今春出版予定。楽しみ!
最近出版された、「レジリエンスを育む」も臨床からみたポリヴェーガル理論を理解するのに役立ちます。この本、すごくいいですよ〜!
レジリエンスを育む―ポリヴェーガル理論による発達性トラウマの治癒
- 作者:キャシー・L・ケイン,ステファン・J・テレール
- 出版社/メーカー: 岩崎学術出版社
- 発売日: 2019/12/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
まだまだ学びは続きます。
この理論の話は、ほんとうにいろんなことに役立てることができるので、今年はもっと自分でも展開していきたいなーと思っています。